強がりな元姫様



浩輔がまどかを保健室に連れて行こうとしている


まどかは肩越しに私を見て、笑っていた


ドンッ


「……いっ」


翔太に突き飛ばされて地面に転がる


紙パックの紅茶が踏まれて中身が流れ出す


心が痛かった


一度"裏切り者"のレッテルを張られると何を言っても信じてくれないんだ


例え真実でも


「……っ」


泣いてはダメだ


ここじゃダメだよ!


我慢しなきゃ!


我慢…我慢


「――……彼女の言っている事正しいですよ」


雛菊の者ではない声が聞こえてきた


ゆっくりと歩いてくる


「彼女の言葉には偽りはありません」


……新崎


「あ? 何だテメー」


翔太がガンつけるように新崎に近づいた


それでも怯む様子なくまっすぐと見ている


「俺、見てたんで。 まどかっていう女が自分で叩いたんですよ?」


「テメーもグルかよ!」


カッとした翔大が叫び新崎に向けて拳を降り下ろした