「父親に見てもらいたかった…翼の思いにあんたは応えた事あんのかよ。 それなのに思いを踏みにじって、罵って…それでも父親か!」


今にでも殴り倒したい衝動に駆られた


「……小僧に何がわかる? 事業が成功した矢先に理由もなく突然家を出て行ったあの女。 俺が幸せにしてやろうとしたのに!!」


俺を睨み付ける男の目には憎悪が見えていた


「あの女に似ているアイツを世話するなんて、見る度に思い出して…アイツが悪いんだ。 あの女に似なければ、あんな事を言わずに済むんだ!」


「……くだらないな」


俺は言葉を吐き捨てた


「翼がアンタに似なくてよかったよ。 アンタなんかに父親を名乗る資格なんてない」


男に憐れみを感じた


「なんだと?」


「……繰り返したくなければ今の家庭を大事にしろよ」


背を向けてドアに手をかけた


「待て!」


男が呼び止めた