「不満なんて大有りよ。 お母さんがいなくなってから毎日が寂しく、毎日が孤独だった。 それなのに、お父さん私に話もしないで勝手に再婚した。
広い部屋を与えられて嬉しいだなんて思った事ない。 誰も話しかけてくれないし目も合わせてくれない。 外から楽しそうな声が聞こえる度に胸が締め付けられた。
お金なんていらない。 ただ、愛情が欲しかった。 お父さんには見てもらいたかった。 勉強も運動も頑張ったわ。 褒めて貰いたかっただけなのに……」
感情的になってくる自身が嫌になってくる
それでも言わなければ伝わらない
お父さんには届いて欲しかった
「――言いたかった事はそれだけか?」
だけど、お父さんには一切届いていなかった
眼鏡越しから覗く眼差しは酷く冷めていて、相手を射るような鋭さが増していた
「はっきりと言わないと分からないようだな」
そう言ってわざとらしい溜め息をつかれた



