「……」


私は冷静さを取り戻していた


「……良かった。 間に合った」


安堵の息をつきながらバックを抱えた星夜が近づいてくる


「走るとは言っていてもここから距離があるからな。 姫を一人にするわけにはいかない」


「星夜、遅いよー」


私の肩を掴み、クルリと反転させる


「翼は任せた!」


後ろから押され、星夜に飛び付く形となった


「星夜がいれば心強いでしょ? 帰っていいよ」


さっきは帰るなとか言ってたのに


「あぁ、任せろ。 行くぞ」


星夜に手を引かれ、カラオケ店を後にした