「翼ちゃん、どうしました?」
「家族に帰ってこいって言われたから帰るね」
「……送る」
「大丈夫よ、走って帰るから」
立ちかけた体制の星夜を止めて、個室を飛び出した
「おっと!」
途中で飲み物の入ったコップを片手に個室に向かう冴木鸞がとぶつかりそうになった
「急いでどうしたの?」
「お父さんに呼ばれて、帰るから」
「!? 待って!」
通りすぎようとしたら手を掴まれた
「……帰っちゃダメだ。 翼が傷付く」
「何言ってんの?」
「翼は分からないかも知れないけど、嫌な予感がするんだよ!」
嫌な予感?
「で、でも…呼ばれてるから帰らなきゃ」
電話が来た事に思わず舞い上がりそうになっていたけど、普段は電話をくれないお父さんから来るなんて……
声をかけられなかったら、私はどうなってた?
考えても答えは思い浮かばない



