「っ…その、話したい事があって」
「私は話す事なんてないわ」
「――オレたちはあるんだよ」
ギュッ
「きゃ……!」
「翼ちゃん!?」
突然の声に後ろから抱き締められ、声をあげてしまった
緋麻里が振り向いて人物を見て目を見開く
「久し振りだなぁ、この感じ」
回された腕に力が入った
「あんた、まさか…舜?」
「正解!」
頭だけ動かして見るとラベンダーの髪色のニコニコ笑う舜がいた
「……舜、だよね?」
私が知る限り、こんなに笑ってはいなかったハズだ
「だからそうなの! 信じられないだろうけどね」
「! 貴方、まさか……」
信じられない、と言うように立ち尽くす緋麻里
「翼! 緋麻里!」
その時、遠くから名前を叫び走ってきた星夜が手前で立ち止まった
今回、私と緋麻里が歩いていたのは他の四人の事情で別々だったから
車送迎ではないのは個人的に女の子同士の会話がしたかっただけ