強がりな元姫様



「翼、降りていいぞ」


「……」


地面に足を付いてすぐに星夜から離れた


俯いたまま少し距離をおく


「翼?」


声をかけられたが頭をあげられなかった


「……死ぬかと思った」


顔が真っ赤になっていて恥ずかしいなんて思う場合ではない


「それに何なのよ! 何囁いてんのよ!」


右耳を押さえて叫んだ


「翼ちゃん、どうしたんですか?」


緋麻里を先頭に四人が近づく


「な、何でもないわ」


「翼の声、ここまで聞こえてきたで」


颯一に言われ、グッと押し黙った


「星夜、何したの?」


塁が星夜に聞くと、


「……パニックにならないようにしたんだが、ダメだったか」


悩むように口元に手を当てて言った


「だからってあれはないわ」


「何て言ったの?」


翡麻里が首を傾げる


「イイコだな、って」


「「「「「!!」」」」」


皆の動きが止まった