強がりな元姫様



「……面白くない冗談ね」


「? いたって本気だが」


緋麻里と翡麻里は顔を見合わせて笑い、


「「先行きまーす!」」


声を揃え、ほぼ同時に窓から身を投げ出した


「星夜と翼の荷物持ってくで!」


「二番手行きまーす」


颯一と塁は背面跳びのように窓から飛び降りた


「俺らはあれくらいの高さは余裕だ」


「ちょっ……」


私を横抱きに持ち上げて窓に近づいていく


「怖かったらしがみついていいぞ」


「っ」


とっさに首に手を回して目を閉じた


「……イイコだな」


耳元で囁かれゾクリと背筋に何かが走った瞬間


バッ


風を身体全体で感じた


「ひぃ……!」


身が投げ出されるとはこんな気分なのか


ただ、星夜の体温を近くで感じる為、パニックまではいかなかった


ほんの数秒だろうけど私にとって長く感じた