「おかあさ……」


「……っ」


空をさまよっていた手に指を絡ませた


「……一人で抱え込むな。 見ているだけで辛い」


抱き締めた手に力が入る


冷えピタ越しに額を合わせて目を閉じた


今は少しでも穏やかに眠れるように祈って……


キーンコーンカーンコーン...


授業の終わりのチャイムが鳴った


翼の寝顔が最初より落ち着いた気がする


抱き締めていた状態から離れた


ただ翼の左手と俺の右手は繋いだままにした


何となく離したくなかったからだ


ガララッ


「失礼しまーす。 ん、保健の先生おらへんな」


「入っていいかな?」


颯一と塁の声だ


カーテンを締めていたから二人からは見えてない


「俺はここにいるぞ」


「「!」」


シャッ


「おった! なぁ、翼の調子はどうや?」


「さっきはうなされてたけど今は落ち着いてる」


詳しくは言わなかった