佳にアメリカ留学を言われて数週間が経ったある日。

蓮唯は優の家に来ていた。

「蓮唯、お茶でいい?」

「うん。構わなくていいのに…」

蓮唯が優の部屋のベットの脇に正座していう。

「いや…彼女だしそんなわけにゃかんだろう。」

優は蓮唯の前に麦茶を出して言った。

「あはは。」

いつものように蓮唯は笑っているのに

その笑顔は少し曇っているように見える。

しかし優は何も言えない。

いや、言わない。

優は蓮唯が自ら話してくれるのを待とうとしているのだった。

「蓮唯はなんで美麗さんみたいに芸能界に入らないんだ?」

「…。」

優が聞くと蓮唯は黙った。

優はその沈黙に焦った。

「や、いいんだ!!なかったことにしていいぞ!!」

そんな優を見て蓮唯は麦茶を一口飲んで息を吐いた。

「ふぅ…。

私ね、芸能界には興味がある。」

「え…じゃ、じゃぁ…」

「だけどね。そんなことしたら歌手になんてなれないじゃん!!

優に初めて会った時から私は歌手になるってもう決めてた!

いや、お母さんを見て育って、

歌手っていいなぁって思った。」

蓮唯は静かに言う。