由緒正しき華道の家元で生まれた雅司 優。

そんな人と交際をしている古都凪 蓮唯。

幸せな日々が続いていた。

季節は春から夏へと変わっていた。

「蓮唯さん。」

蓮唯のボイストレーナーの蜩 佳(ひぐらし すぐる)は言った。

「アメリカに行ってみませんか?」

「アメリカ…?」

蓮唯はお茶を飲みながら聞き直した。

「はい。アメリカはダンスとしても有名ですが、

歌、歌手…というべきでしょう。

歌手の育成としても有名でして、

ちょうど蓮唯さんくらいの成績なら容易く合格できるでしょう。」

「合格?」

「はい。

アメリカでその合格をもらえば、日本のデビューは間違いなしです。

それに世界中からのオファーも夢ではないかもしれません。」

蓮唯は迷った。