「でしょでしょ!?ほら!!

出て正解だったんじゃん!!」


「正解っていうより…歌の発表みたいでしたよ。

曲も課題曲でしたよね?」

佳は厳しい顔で言った。

「でもそれは…お母さんの…歌…で…」

蓮唯は段々声を小さくして言った。

「ふぅ…」

佳は一息ついて蓮唯に話す。

「蓮唯さん、いいですか?

歌手というのは歌えばいいってものではないんですよ?」

「わかってるよ…」

蓮唯はスネ言う。

「歌手は歌で魂を届けるのです。」

「先生…歌、歌ってないじゃん。

優の執事なんかしてさ…」

「優様は関係ないですよ。

歌を歌っていないのは私は引退したんです。」

佳は優しくしかし蓮唯の胸に届くように強く言う。

「引退?なんで?」

蓮唯は詰め寄る。

「声が出なくなったんです。

蓮唯さんがそんなことにならないように私は言ってるんです。

それに…」

佳はメガネを外し蓮唯に近づいた。

〝ドンッ〝

(え…か、壁ドン!?今流行りの壁ドン!?)

蓮唯は少し興奮気味に佳を見つめる。

「蓮唯さん…。」

「は、はい…」