蓮唯達三人は楓と別れ、聖ロンドリア女学園の長い廊下を歩いていた。

〝カツン…カツン…〝

靴の音だけが廊下に響く。

〝コンコン〝

理事長室の前に立ち、静かに扉を叩く蓮唯。

「はぁい。」

中から理事長らしき人の声。

「失礼します。」

蓮唯はそう言って扉を開ける。

「お?蓮唯ちゃんだー!!」

座っていた男性。

外見からして25~6歳の男性。

「あなたが…お母さんの知り合い?」

蓮唯は聞く。

「そうだね。知り合い?かな…。美麗ちゃんの娘さんだよね?
まぁ結構会ったことあると思うよ僕ら。」

そう笑顔でいう男性。

「あぁ、僕の名前はグラッシュディ・亜藍・ジェームズ。
この学園の理事長だよ。」

亜藍(あらん)は言った。

「何人?」

朱音は蓮唯に耳打ちでいう。

「亜藍理事長はイギリスと日本のハーフです。」

希子がそう助け舟を出した。

「そうだよ!美麗ちゃんの弟子!!」

亜藍は胸を張って言った。

「弟子?」

蓮唯は首をかしげた。

「美麗ちゃんは僕の師匠さ!!
あの歌の上手さに惹かれて弟子にしてもらったのさ!!」

(胸を張って言ってるけど…ほんとに理事長なのかな…)

蓮唯は少し不安になった。

「あの、母から届け物です。」

蓮唯はそう言って美麗から預かった手紙を亜藍に渡して部屋を出た。