【完】向こう側の白鳥。









かと言って、菜子ちゃんの言葉を鵜呑みするのも嫌で……。





「……少し……。」





先輩にはそう答えた。





「少しじゃないのにー……。」と、菜子ちゃんの不満げな声が聞こえたけどそれはスルー。





「なんで?」



「な、なんでって……。」





まさか理由を聞かれるとは思ってなかった。





先輩を見てたからです、なんて言う勇気は私に無い。



それこそ理由を聞かれたら、私はおしまいだ。



先輩を見てる理由なんて、私にも分からないのだから……。





「秘密です……。」





とりあえずその場はそう言ってごまかした。



嘘をついてしまったことには、少しだけ罪悪感。