普段なら絶対思わないこと思うほどに、私は疲れていたのかな。
「ただいまー!! ゆーずー?」
玄関から聞こえる大きな声。
あぁ、そう言えば。
ゴールデンウイークの初日と二日目は、家に帰って来るんだっけ……。
お母さんが一階から呼ぶけど、私はどうしても動く気にはなれなくて。
帽子を抱きしめたまま、目を閉じた。
窓から差し込む心地好い風。
先輩から受け取った、お姉ちゃんからの髪飾り。
机に置いていたそれは、外からの風によって呆気なくも下へと落ちた。
「……会いたい。」
……本当、先輩の毒牙にかかってしまったのかも。