【完】向こう側の白鳥。









少しだけ顔をしかめる。





こういうときのメールは、あまり良いものじゃない。





「……やっぱり。」





送り主はお母さん。





いつも無駄に絵文字の多いメールを送ってくる人。





内容は「今日もこっちに泊まるね。寂しがっちゃダメよ!」なんていう、外泊のお知らせ。





「またか……。」





高校一年生にもなって寂しいとか思わないけど。



お母さんが帰って来ないということは、今日の夕飯も自炊しなければならないっていうこと。





時間は四時半。





「よかった。こんなけあれば、三日分ぐらいは買える。」





一度財布の中を確かめて、私は帰路から外れた。