【完】向こう側の白鳥。









まさか、六時半まで描き続けるとは……。





自分の集中力に呆れ、小さく溜息をつく。



一時期、時貴くんに“美術バカ”と言われたのにも納得だ。





「……準備できた?」





全てを鞄に詰めたところで、再び一ノ宮先輩に声をかけられた。





というか、先輩いるの忘れてたな……。





「あ、はい……。」





鍵を持った先輩が扉にもたれている。



鍵は美術室の鍵で、私を待ってくれてることがわかった。





「待たせてしまってすみません……。」



「大丈夫。」





冬と雨の日を除いて、基本電気をつけない美術部。



その方が、ありのままの絵が描けるから。





私が出たのを合図に、先輩は美術室の鍵を閉めた。