本当に私が気にかかるなら、声ぐらいかけてくれればいいのに……。
男の人が苦手と言っても、恐怖症でもなければ、嫌いでもないのだから。
逆に、コソコソと見られる方が嫌に思う。
そんな私の心境を知らない先輩は、本当に良く私を見てくる。
「柚子ちゃん柚子ちゃん!!」
菜子ちゃんが煩いので、仕方なく私は先輩に目を向ける。
……また目が合った途端に逸らされた……。
気分が悪い。
「……ごめんね、菜子ちゃん。私、今日はもう帰る。」
そんな気持ちのまま絵を描き続けるのも嫌だと思い、私はキャンバスなどを片付けていく。

