「はぁっ!? 仲直りも何も、喧嘩なんてしてないし!!」
私、“喧嘩”なんて言ってないよ、時貴くん。
「じゃあ行って来るね、菜子ちゃん、時貴くん。」
「いってらっしゃい、柚子ちゃん。」
「……果穂が心配するから、別れんなよ。」
……最近の時貴くんは、どこかツンデレっぽい。
多分、遅めの反抗期。
「あ! 時間!?」
なんて話し込んでいたら、約束の時間。
携帯には、十一時五分前が表示されている。
「も、最悪……!!」
走って走って、まるで一年前の入学式の日みたいに。
信号の長いあの横断歩道に差し掛かる。
こんなときだと言うのに、今日は運悪く引っ掛かってしまった。