少し、我が儘になってみる。
「もう、“恋愛ごっこ”じゃないよね?」
「当たり前です! あれは別れる為の口実で、あれからもずっと私は一ノ宮先輩のことを……。」
「ははっ、……うん、知ってる。」
十月の風が吹く。
秋も残り半分。
十一月になれば、一ノ宮先輩も部活は引退。
本格的に、“受験生”という立場が出る。
「寂しくなったら、家来ていいからね。」
「私が家に行くと、一ノ宮先輩勉強しないじゃないですか。」
「勉強より柚子が好きだから。」
そういうことをスラッと言える先輩もだけど。
……その言葉でときめいてしまう私も、結構重症……。
「……そんなの、当たり前です!!」