【完】向こう側の白鳥。









――これはあとから聞いた、一ノ宮先輩の本音。





入学式の日、道を挟んで顔を合わせたとき。


お姉ちゃんの幻影かと思っていたらしい。



その時はまだお姉ちゃんが好きで。


私と出会うまでは屍のように生きていたから、自分が作り出した幻影だと。





でも私が同じ部活に入って、お姉ちゃんが苦手とするデザインの絵を描いていたとき。


私とお姉ちゃんは別人なんだと思った。



それからは逆に、二人を同一人物と思えなくなった。





私が先輩を避け始めれば、胸がずっと痛んで、毎日私の存在を美術室で待ち続けていた。



絵に手もつけられなかったらしい。


まるで夏休みのときの私のように、描いても納得の出来る絵は描けなかったって。