【完】向こう側の白鳥。









ほんの少し、私は強くなれた。


それはきっと、絶対、一ノ宮先輩のおかげ。





「俊二はもう、過去です。今私が好きなのは、一ノ宮先輩だけ。」



「……竜は?」



「沢渡先輩も違います。確かに、沢渡先輩の想いを利用して酷いことをしてしまったけれど……。沢渡先輩とは、もう別れました。」





一ノ宮先輩の目が驚きで見開かれて、さっきまでの切ない瞳が軟らかく微笑む。




この目が、私は好き。



先輩の落ち着いた軟らかい瞳。





「先輩こそ、さっきの言葉、もう一度言って下さい。」



「さっきの言葉?」





あの時、私は本当に嬉しかった。





一ノ宮先輩はお姉ちゃんしか想っていないと思っていたから、余計に。