【完】向こう側の白鳥。









オレが、泣いているわけ……。





「泣かないで、俊二……。」





柚子の指が、オレの頬に触れる。



暖かく、優しい、白く細い指。




声まで、梅芽と同じだ……。





「梅芽……。」



と、呟いた途端、ガツンッと頭に衝撃が走った。





「っ!!?」



「い、一ノ宮先輩!?」





やべえ……頭、ジンジンする……。


痛てえ……。





「……紫苑……てめえ……。」





気づかぬ内に流れていた、涙はとっくに引っ込んで。



いつも無我夢中に喧嘩をしている時の目で、紫苑を睨んだ。




つか……中学三年まで空手習ってた奴が、人の頭殴るか……?





まじ、痛い……。