【完】向こう側の白鳥。









「それにさ、柚子ちゃん。」





何……?



俯いていた顔を上げる。




出来れば話したくない。



今は急いで、ここから逃げ出せる方法を考えないと。


じゃないと、一ノ宮先輩がここに来ちゃう……。





そんな私に心境に構わず、康稀さんは意味の分からない言葉を呟いた。





「……分かってあげてくれないかな。」



「何を、ですか……。」




「……俊二って不器用なんだよ。」





知ってる。



昔から不器用、俊二は。


言葉遣いが悪くて、気遣いが苦手で。





「……それが何ですか。」





「もしさ。二年前の春、柚子ちゃんが俊二に告白したとき。……俊二も柚子ちゃんが好きだった、って言ったら……どうする?」