side 白鳥柚子
ガンッ……!
体が壁に打ち付けられた音。
背中が軋んで、激痛が私の体に響いた。
「なあ、柚子……。お前を汚せば……、紫苑は怒るか?」
目の前にいる俊二は、本当に私の知らない俊二だった。
「っ、なんでこんなことをするの!! 俊二!!」
公園で運悪く顔を合わせたあと、急に俊二に腕を捕まれ、ここまで連れて来られた。
随分歩かされたから、詳しい場所は分からないけど……。
多分、どこかの倉庫……。
世間で言う、不良の溜まり場。
「気安くオレの名前を呼ぶな、柚子。お前は人質なんだからな。」
「人質……!?」