開いたページは、一学期からずっと菜子ちゃんが頑張って描いていた、午後三時四十五分の中庭。
油絵の具で表された……、
春の日の春風漂う中庭。
夏の日の太陽輝く中庭。
秋の日の茜色空な中庭。
快晴の日の、雲一つ無い中庭。
曇り空の日の、陽の隠された中庭。
豪雨の日の、雨粒打たれる中庭。
沢山の中庭が、そこにあった。
「……沢渡先輩が、褒めてくれたの。一ノ宮先輩に会いに来てたみたいで、偶然その時。」
愛おしそうにノートの絵を撫でて、軟らかな微笑みを浮かべる菜子ちゃん。
どれだけ菜子ちゃんが沢渡先輩を想っているのか。
その一面を、これだけの行動で想い知らされた。

