【完】向こう側の白鳥。









「……変なの、私。」





しばらくボーッとして、先輩達の上って行った階段を見ていた。





「柚子ちゃん。」



「え?」



「こんなところで一人、何してるの?」





どれほどボーッとしていたのか。



やっとのことで私が動き出したのは、ホームルームを終えた菜子ちゃんが階段を下りて来てからだった。





……あ、ホームルーム……。





鞄を肩にかけてる菜子ちゃんを見て、真っ先に思い出したのはそのこと。





多分、ホームルームはもう終わってる。



ところどころ、一年のクラスから生徒が出て来てるから。





頭の中のかっちゃんが、涙を流して私に悲哀を訴えていた。