【完】向こう側の白鳥。









こっちを見ている一ノ宮先輩。





いつも先輩は私を見ているけど、こうやってまともに目を合わすのは初めて。



誰が見ても美しい容姿に、少しだけ胸がドキドキした。





「紫苑?」





一ノ宮先輩の隣にいた男の先輩が、不思議そうにこっちを見る。





その隙に先輩は私に軽く手を振って、三階へと続く階段を上り始めた。





「……さよなら。」





小さく呟いて、私も手を振り返す。





先に行った一ノ宮先輩を追って、男の先輩が慌てて階段を上って行く。





不思議な光景。



不思議というより、変?





今までは先輩を見かけても直ぐに避けて、先輩が一方的に私を見てくるだけだったのに……。