「あ、れ……?」
なぜか、頬が濡れている。
雨……夕立……?
そう思うも、空は薄い山吹色。
雨雲なんて見つかりやしない。
じゃあ、なんで……?
「っ……泣くぐらいなら、我が儘言えば良いだろ!!」
繋いでいた手をグッと引かれる。
体全体に感じる沢渡先輩の体温。
「俺は柚子が好きだ! ……だけど、従兄弟の紫苑も好きだ。一回しか会ったことねえけど、あの穏やかで優しそうな白鳥先輩も好きだ。」
「…………。」
「好きがいっぱいあって、何が悪い! お前にだって我が儘を言う権利はあるんだ! 白鳥先輩も、妹に気を使われて喜ぶわけねえだろ!!」

