【完】向こう側の白鳥。









手が離れた。



一ノ宮先輩の体も、私から離れていく。





閉じていた目を開き、俯いていた顔を上げる。





「先輩、本当に私が好き?」





先輩は既に、私に背中を向けて歩き出していて。



私のそんな呟きは、先輩の耳には届かなかった。





「……どうして。」





どうして先輩は、最後にあんなこと……。



先輩が好きなのは、お姉ちゃんなのに……。


柚子じゃなくて、梅芽なのに……!!




先輩は愛の言葉と私の名前を、私に残した。




残酷な言葉が、グルグルと私の中で渦を巻く。





日差しはまだ暑いけど、風はもう秋の風。





そうやって季節が変わっていくように、私と一ノ宮先輩の関係も変わっていくんだ。