【完】向こう側の白鳥。









「ねぇ……柚子、付き合うの……? ……竜と。」





腕の力が強くなる。



少し苦しい。





「答えて……。」





どう答えるべきか迷う。



迷う時点でおかしな話なんだけど、全て本当のことを話してしまえば、一ノ宮先輩が離れていってしまう気がして……。





……気づけば、一ノ宮先輩の顔が間近にあった。



唇が重なりそうなぐらい、近い距離。





瞬間、思い出す。



昨日感じた胸の痛みを。


これ以上先輩を想いたくないと泣き叫んだ自分の心を。




……何より、私の返答に心から喜んでくれた沢渡先輩の優しさを……。





『絶対に、辛い想いはさせないから。』