【完】向こう側の白鳥。









ほんの短な、たった一時の幸せだった。





「柚子、柚子……っ。」





花びらのように散った、たった一時の……恋心……。





「先輩……。」








「……柚子?」





私は、一ノ宮先輩を遠ざけた。





私と先輩の間にある、私の腕。



先輩の胸を押すその腕は、少しばかり震えてる。





「……俺が嫌い?」



「ちがっ……。」





『違う。』って言おうとしたのに。



その言葉は、一ノ宮先輩の唇によって掻き消された。





「……違うなら、俺を拒否らないで。」





声が震えるほどの、弱々しい言葉。





一度は離された唇が、また塞がれた。



今度はさっきよりも深く、甘く……。