【完】向こう側の白鳥。









「紅茶、入れ直して来る。」





沢渡先輩の声の後に聞こえた、パタパタと歩く音。



私は遠慮したけれど、沢渡先輩はスリッパを履いていたからその音が良く聞こえる。





きっと一ノ宮先輩は今、あのソファーに座っていてこっちを見てない。



幸、ドアもここから一直線のところにある。



腰を屈めて行けば、一ノ宮先輩にバレずに外に出られるかも……。





なんて考えて、顔をカーテンから覗かせたのがいけなかった。





「っ……!!」





……目の前には何故か、一ノ宮先輩がいて。



瞬時に私は、私がここがいることを気づかれていたんだと悟った。





視線が重なって、胸が高鳴る。