【完】向こう側の白鳥。









一ノ宮、先輩……。



どうして……。





「…………。」



「どうした? 紫苑。」



「……いや、なんか視線を感じて。」





一瞬、一ノ宮先輩に気づかれてしまったと思った。



直ぐ顔をカーテンの中へと戻したのが幸か、先輩はこっちには気づかなかった。





「……誰かお客さんでも来てたの?」



「え、あ、あぁ。まあな。」





見てはいないけど、きっと一ノ宮先輩はテーブルの上に置かれた紅茶を見て言ってるんだと思う。



紅茶の入ったカップが二つ机の上にあったら、そりゃあ誰かが来てたって思うはず。





沢渡先輩焦ってたし、片付けるの忘れてたんだ……。