【完】向こう側の白鳥。









「それじゃあ。もう私達は別れたってことで。」





これ以上、この場にいたくない。





一ノ宮先輩の傍から、離れたい。





その一心で、言葉を口に出した。





「……さよなら、一ノ宮先輩。」





走り出す。



先輩は追いかけて来ない。





走る途中、耳にかけていた輪ゴムが切れてお面が落ちた。



先輩とお揃い、白鳥のお面。



捨てることなんて出来なくて、拾って、また帰路を走り出した。





涙が零れて零れて、醜い顔になっていると思う。





でもみんな花火に夢中で、私の顔には目もくれない。



泣き声は大きな花火音に掻き消される。





それが唯一の幸。