唇が離れた。
閉じていた目を開けば、今にも涙が零れそうなほど潤んだ、一ノ宮先輩の灰色の瞳が映る。
とても不安そうな目、そんなことは私にもわかった。
だからこそ、私は言う。
出来れば一ノ宮先輩の心に、これからもずっと、残ってしまうように。
「……一ノ宮先輩……大好きでした……。」
「……だけど、もう好きじゃありません。」
一ノ宮先輩が一生、私を忘れないでいてくれるように。
私は敢えて、残酷な言葉を吐く。
「前から思っていたんです。始業式から毎日、先輩私の方を見ますよね。」
「あれ、正直とても気持ち悪いです。家も知っていましたし、私のストーカーですか?」

