【完】向こう側の白鳥。









それでも、私に言わないという選択はない。





このまま一生……お姉ちゃんの代わりなんて、私にはできない。



このまま、お姉ちゃんのことを裏切り続けることも……私にはできない……。





何より……。



これ以上、一ノ宮先輩を「残酷」だと思いたくない……。





「柚子、柚子。」





強く唇を重ねる。



最後のキス。





ついさっき食べた、タコ焼きの味。





「お願い……俺を、捨てないで……。」





何度も唇を重ねた。





周りはみんな花火に夢中で、端っこにいる私達になんて誰も気にしない。





きっと私達を見ているのは、打ち上げられたまま天真爛漫に咲く夏の花火だけ。