【完】向こう側の白鳥。









見苦しい言い訳。





なのに一ノ宮先輩はもう何も言わず、ソッと繋ぐ私との手に力を込めた。





「一ノ宮、先輩……っ。」





涙が止まらない。



体の震えも、声の震えも止まらない。





一ノ宮先輩は、分かっているようだった。





「柚子……。」





私を強く、抱きしめる。



強く、強く強く……。





そう、体中で、私を逃がさないと訴えている。





先輩の体も、震えていた。





「先輩……。」



「言うな……何も、言うな……。聞きたくない……。」





『聞きたくない。』





先輩は、私が言いたいことを分かっていた。





私の体に縋る先輩を見て、胸が張り裂けそうな痛みを覚える。