【完】向こう側の白鳥。









「綺麗……。」





そう言ったのは一ノ宮先輩だった。





去年も一昨年も、菜子ちゃん達と同じ花火を見に来ていたのに。



去年までとは、まるで違った花火を見ているような気分。





鮮やかに彩られている、夏の色。



真っ黒な空に描かれた、何色もの想い。





とても素敵で、とても綺麗。





……あまりにも綺麗すぎて、涙が零れた。





「柚子?」





一ノ宮先輩は直ぐ、私の異変に気づく。





先輩とお揃いの白鳥の仮面をつけて、泣き顔を隠した。





「泣いてる?」





泣いてません。



そうは、声が震えて言えなかった。





「花火に感動して、思わず涙が……。」