【完】向こう側の白鳥。









そしてこれ以上幸せな時間(とき)なんて……きっと、二度と来ない。





「金魚すくい、しよう。」





りんごあめを持つ手とは違う方の手を引かれた。





ぶどうあめを食べ終えた一ノ宮先輩は、串を辺りに配置されているゴミ袋へと入れて。



財布から取り出した百円三枚を、金魚すくいの屋台を出すおじさんへと渡した。





「二人はカップルかい? 彼氏、頑張りなよー。」





“カップル”“彼氏”



その単語に、また頬が熱くなる。





けれど先輩はそんな様子もなく、渡されたポイと入れ物を手に、ジッと金魚を見ていた。





……いつになく真剣だ、先輩。