――「柚子、帰ろう。」
終業式が終わった。
教室を出れば、先にホームルームを終えた一ノ宮先輩が駆け寄って来る。
「ごめんなさい、先輩。今日は少し用事があって……。」
そう言えば、先輩は少し寂しそうに眉を下げた。
「そう……。じゃあこれだけ。今月末にある夏祭り、一緒に行こう。」
「夏祭り、ですか?」
そういえば、数日前にも菜子ちゃんがそのことで騒いでたっけ……。
今月末……。
「……はい。私、浴衣着て行きますね。」
「ん、楽しみにしてる。じゃあ、またメールするから。」
ガヤガヤと、一ノ宮先輩を含めた生徒達が帰って行く中、私だけが北校舎の階段でポツンと立つ。

