カタン
最早カラスの鳴き声も聞こえない。
私の泣き声だけだった部屋に、一つ音が響いた。
「あ……帽子……。」
音の正体は、枕元に置いてあったあの帽子。
先輩がくれた白い帽子。
「……。」
拾い上げる。
そこに、“それ”はあった。
「お姉ちゃんの筆……。」
ついこの前、絵の具を使って絵を書いたとき、自分の筆が見当たらなくてお姉ちゃんのを借りた。
私ほど絵に力は入れてなかったけど、お姉ちゃんも美術部で絵が好きだったから筆や絵の具はたくさんある。
あとで元の場所に戻そうと机に置いていたのが、いつのまにか落ちていたらしい。

