【完】向こう側の白鳥。









ベッドへとダイブ。



いつも通り、誰もいない家。



外から聞こえるカラスの鳴き声以外、何の音もしない。





「静か……。」





私の家も、私の心も。





『柚子の可愛い顔が見たかったから。』





「うそつき……。」





零れる涙を隠すかのように、枕に顔を埋めた。



枕がじんわりと濡れる。





「んっ……ぐす……っ。」





先輩が愛しているのは、私じゃない。



先輩が見たかったのは、私じゃなくて、想う人の顔。





胸が苦しい。





普段ならクサイと思ってしまうあのセリフでも、一ノ宮先輩が言えばそうは思わない。



あのセリフが、自分に向けられたものじゃないことに涙が零れる。