【完】向こう側の白鳥。









頑丈で大きいのだ、その壁は。



一ノ宮先輩の心のように。





「柚子。」





先輩が私を呼んだ。





「はい? んっ……。」





私が誰かの代わりだとしても、私と先輩の関係は“恋人”。





この一ヶ月体の関係は一度も無いけど、唇は幾度か重ねた。





甘くほろ苦い、一ノ宮先輩とのキス。



嬉しいのに、泣きそうになる。



こうやって私と唇を重ねている間も、先輩は違う人を想うのかな……。





「柚子……。」





一ノ宮先輩が何かを口に含んで、また唇を合わせて来た。





舌で唇を開かせられて、口の中に舌と一緒に何かが入り込む。



丸くて、甘い。