【完】向こう側の白鳥。









そんなとき……。





「何してるの。」





少し冷たい、でも熱を篭った声を耳にした。





「あら、紫苑。本当に風邪だったのね。」





スミレさんが初めて、一ノ宮先輩の名前を口にする。





「……ええ。でも……あなたに関係ないでしょう?」





いくら部外者の私でもわかる。





息子を名前で呼ばず、“あの子”呼び。



息子が母親に対する口調は敬語。



風邪を引いても、お互い心配も頼りもしない。





一ノ宮先輩とスミレさんは……仲が悪い。





「ていうか、そのお粥どうしたんですか。」



「これ? いいでしょう。美味しいわよ。」





スミレさんが口にしてる、私が作ったお粥を見て先輩は顔を歪める。