【完】向こう側の白鳥。









頭をガツンと、鈍器にでも殴られた気分だった。





「んー……でも、もう少し大人びてたかな? 確か、あの子より年上だったし。」





スミレさんの言葉が私の脳内を渦巻く。





……きっと一ノ宮先輩は、今でもその人のことを想ってるんだ……。



そして、その人と似てるから私を…………。





「これ、あなたが作ったの? 美味しいじゃない。少し貰うわよ。」





私の暴れる心境なんて知らずに、スミレさんは先輩の為に作ったお粥を茶碗によせ、食べ始める。





何だか、マイペースな人。



スミレさんがそんな人だからか、胸がどんなに苦しくても涙は出てこなかった。





心だけが、泣いていた。