【完】向こう側の白鳥。









「お粥……あの子、風邪なの?」





私の作ったお粥が入っている鍋を覗いて、そう言った女性。





『あの子』



その言葉が、少し引っ掛かった。





「あ、あの! 私……紫苑先輩の彼女の、白鳥柚子と言います……。」





今度は噛まずに言えた。





「白鳥柚子……あの子の彼女かぁ。可愛らしいじゃない。」





やっぱり、この女性は先輩のことを『あの子』と呼ぶ。



……気にくわない。





「あたしはあの子の母親。一ノ宮スミレ。」



「先輩のお母さん……?」





若い……。





私が思ってることがわかったのか、スミレさんは「これでも三十六よ。」と言った。



……やっぱり若い。