私の手に先輩が手を伸ばす。



そのことに気づいた私は、咄嗟に手を引いた。





「だ、大丈夫です。これくらい慣れてますから。」





それに先輩に持ってもらうと、家まで来てもらうことになるし……。





避けたい、それは切実に避けたい。



男の人に家を教えるとか、私のポリシーにも反する。





だから持ってもらうのは断ったのに……。





「いいから。」





先輩は私の手から袋を奪った。





「もう一つも貸して。」





一つ奪われてしまった今、一つも二つも同じ。





先輩に見えないよう小さく溜息をつき、私はもう一つの袋も手渡した。