【完】向こう側の白鳥。









先輩はテストで学年一位を取れる程頭が良いけど、今回ばかりはバカだと思った。





こんな大雨の中、四時間も待ち続けるなんて……。





「どうして……っ。」





「……白鳥さんに、会いたかったから。」





そんなのまるで、私が好きみたいな言葉。





そうやって先輩は、離れようとする私の心を離さない。



まるで先輩の優しさは毒牙のように。





「……俺は、“柚子”に会いたかった。」





『嘘』だと言いたくても、言葉が出ない。



素直に、彼の言葉が嬉しくて堪らなかった。





彼女じゃなくて、“私”にと言ってくれて。





例えその言葉が、この場限りの言葉だとしても。