【完】向こう側の白鳥。









時に菜子ちゃんをお姉ちゃんのような存在に感じてしまうのは、彼女が持つ広い心と温もりのせい……。





今まで何度も、その広い心と温もりに助けられて来た。




時貴くんと私が喧嘩したときも。


お母さんに暴言を吐いて家出したときも。


初めて告白されて悩んでいたときも。



お姉ちゃんが死んでしまったときも……。





菜子ちゃんが言ってくれる一言で、私はいつも救われていた。





「頑張って、柚子ちゃん。」





……だけど、今回ばかりは……。





「無理だよ……菜子ちゃん……。」





今回ばかりは、頑張れない。





今回だけは、



「無理なんだよ……。」





こんなにも切ない想いは、初めてなんだ。